情報数学 I

第四回: 論理回路と命題論理

Martin J. Dürst

duerst@it.aoyama.ac.jp

O 棟 529号室

テュールスト マーティン ヤコブ

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2005/Math%20I/lecture4.html

AGU

© 2005 Martin J. Dürst 青山学院大学

今週の目的

先々週の宿題

採点完了。来週の火曜日 (10月25日) から O-529 の前に取りに来れる。

多かった問題点:

先週の宿題

サイコロやコインを使って、四変数の真理関数を作る。

その論理関数について次のことをやって下さい。

提出: 提出は必要ないし、成績には影響がないが、正解かどうか分からない場合に提出して、チェックして返す。

論理回路

論理関数を実際に計算する回路を作ることができる。

論理演算と電気 (電子) 回路の関係は 1938 年が C. Shannon 修士論文で発表。

論理回路の部品を「ゲート」と呼ぶ。あるゲートの出力を次のゲートの入力につなぐことができる。

実際の回路では出力を元のゲートに戻すことなどもあるが、その場合には論理回路ではなくなる。

論理回路の場合に真と偽の代わり 1 と 0 を使うのが普通。

論理回路に使う (主な) ゲート

NOT ゲート AND ゲート OR ゲート
 

 

 

   
XOR ゲート NAND ゲート NOR ゲート
 

 

 

   

論理回路の書き方

論理回路の例

この例は半加算器 (half adder) を実現する (足し算一ビットごとに二個必要)

入力 出力
A B S (sum) C (carry)
0 0 0 0
0 1 1 0
1 0 1 0
1 1 0 1

NAND、NOR の特徴

NAND だけ (又は NOR だけ) で全ての論理関数が実現できる。

∧、∨、と ¬ で標準形を使って全ての論理関数が実現できるので、この三つを NAND で実現できれば証明ができる。

¬ A =

AB =

AB =

NOR の場合には双対原理を使って証明できる。

記号論理

(symbolic logic)

論理に大切な演算子

「同値である」と
「ならば」の真理表
A B AB AB
T T T T
T F F F
F T F T
F F T T

「同値である」と「ならば」の性質

  1. 含意の除去: AB = ¬AB = ¬(A∧¬B)
  2. 同値の除去: AB = (AB)∧(BA) = (AB)∨(¬A∧¬B)
  3. 推移律: ((AB) ∧ (BC)) → (AC),
    ((AB) ∧ (BC)) → (AC)
  4. 背理法: A→¬A = ¬A
  5. 対偶: AB = ¬B→¬A
  6. 同値の性質: AB = ¬A↔¬B, ¬(AB) = (A↔¬B)
  7. 含意の性質: T→A = A, F→A = T, A→T = T, A→F = ¬A

恒真と恒偽

今週の宿題

提出: 再来週の金曜日 (11月 4日)、授業のはじめに。形式は A4 一枚。

第一問:
半加算器を NAND だけ (もしくは NOR だけ) で作って書いて下さい。
第二問:
三つの真理値 (真: T、偽: F、未定 (分からない): ?) を使う多値論理の基本的な真理表 (かつ、又は、ではない) を作って下さい。